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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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take care of ... 【千銃士R/スフィマス♀】


千銃士沼に飛び込んだので……

書きたいことは数多あれど、こういう感じにゆっくりな、Rのスフィマスが見たい欲

take care of ...


銃の手入れをするあなたを見ているのが好きだ
真剣な目で
優しい手つきで
丁寧に触れてくれるのを
傍で見るのが好きだ

たくさん刻まれた過去の傷すら
あなたは優しく丁寧に拭ってくれる
そのたびに……
心に刻み付けられたままの見えない傷まで
癒されるような気がする
壊れやすい部品まで注意深く見てくれる
それがどれだけ嬉しいかわかりますか?

じっと見ていると、あなたは視線を上げた
ふと困ったように笑って、僕を見る
「そんなに見られてると落ち着かないなぁ」
落ち着かないのは僕の方
あなたが触れているのは僕の本体
僕自身であることには違いない
それなのに……
そこを代わってほしいと思ってしまう
あなたに本体を手入れされることが好きだ
けれど、それは少しくすぐったい
あなたに触れられている銃が羨ましい
その真剣な顔を僕に向けてほしい
その優しい手で僕に触れてほしい
いつから、そう思うようになったんだろう?

「どうかした?」
手を止めて首をかしげるあなた
少し心配そうにあなたの目が見つめてくる
なんでもないと答えようとしたのに
「触れてほしい、です」
口から出たのはそんな言葉
「え?」
驚いて目を瞬かせるあなた
ああ、言ってしまった
ならば……
手を伸ばし、あなたの手に触れる
戸惑うあなたの目を見つめながら……
「同じように、触ってくれませんか?」
あなたの手を持ち上げて僕の頬へと触れさせた

あたたかい
胸がぽかぽかとした
目の前であなたがくすりと笑う
急に息が苦しくなる
胸がぎゅっとした
目を細めて、あなたは僕の頬を撫でる
ああ、なんて気持ちいいんだろう
あなたの手が頬を髪を優しく撫でる
それだけで
僕はあなたの貴銃士になれてよかったと思える

「甘えてくれるようになったことが嬉しい」
とても優しい笑みを浮かべてあなたが言った
僕は驚いて目を瞬かせる
「ご、ごめんなさい……甘えたつもりは……」
「甘えていいんだよ」
甘えるなんて許されないと思っていた
けれどあなたはいいと言う

「自分の心に正直になっていいんだよ」
しんどかったらしんどい
嬉しかったら嬉しい
悲しかったら悲しい
楽しかったら楽しい
ツラかったらツライ
「全部、口に出して伝えていいの」
そう言って笑うあなた

「それじゃあ……」
僕は、もうひとつあなたに甘えることにした
「僕も、あなたに触れていいですか?」
あなたがしてくれるように……
僕もあなたの頬や頭を撫でてみたい
少し驚きながらも頷いてくれるあなた
だから……
おそるおそる手を伸ばす
指があなたの頬に触れた

「柔らかい……」
思わず口にした言葉
あなたが目を瞪ってあわてて視線を逸らす
あれ?と思いながらも好奇心が勝って……
僕はあなたの髪に触れてみた
さらさらとこぼれる絹糸のような髪が心地いい
そしてそのまま頭を撫でる
あなたが息を飲む気配がした
視線を向けて僕は目を瞪る
胸がドクン!と大きい音を立てた
耳を頬をピンク色に染めたあなたに、僕は……

「あの、そろそろ」
消え入りそうな小さな声
名残惜しいけれど僕は手を引っ込めた
「僕……調子に乗りすぎましたか?」
「そ、そういうわけではないけど」
「けど?」
首をかしげれば、あなたは視線をさまよわせる
そして、少し潤んだ瞳で上目使いに僕を見た
思わず喉がごくりと鳴る
「……ずるい」
「え?」
「なんでもない!」
そう言って、あなたは銃の手入れに戻る
僕はまた、あなたを見つめる

優しく触れる丁寧な手を
……そのあたたかさを知ってしまった
真剣な視線を向ける瞳を
……それが心を騒がせると知ってしまった
柔らかな笑みを浮かべる唇を
……それは
それは、いったい……どんなものなんだろう?
ふと過った途端、唇から目が離せなくなった
胸がどくりと音を立てて苦しくなる
顔が熱くなった気がした

ねぇマスター
もっと甘えてもいいですか?
もっと触れてもいいですか?
そう今にも口にしてしまいそうで
僕は慌てて口を噤んだ
これ以上はきっと
あなたを困らせてしまうだろうから
だから僕は……
銃の手入れしているあなたを傍らで見続ける

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