星に願いを【文スト・乱夢主】 2020年11月22日 文豪ストレイドッグス 0 七夕。 Twitterに載せたSSの再掲 ※名前・設定あり創作女夢主注意 星に願いを 屋上の手すりに凭れて、ぼんやりと空を見上げる後ろ姿。 久しぶりに帰ってきたというのに、顔も見せずこんなところで何をしているのだと乱歩は溜め息を吐いた。 「なにしてるの?」 びくりと跳ねる肩。 慌てて振り返った沙希が、目を瞬かせながら近付いてくる乱歩を見つめていた。 「乱歩くん……」 「夜の曇り空なんて見てて楽しい?」 沙希の隣で、手すりに背を預け空を見上げる乱歩。 ちらと向けられた視線に、沙希は苦笑を浮かべた。 「今日は七夕なのに晴れないなと思いまして……」 「……沙希ちゃん、敬語」 ムスッとして告げられた言葉に、沙希は肩を竦めて視線を落とした。 「僕と二人だけの時は敬語やめなよって何回言えばいいわけ?」 「ごめん」 ひょいと顔を覗き込む乱歩。 沙希はついと視線を逸らした。 「沙希ちゃん」 視線を追って目を合わせようとする乱歩。 開いた目に見つめ返されてしまえば、何もかも見透かされそうに思えた。 「何考えてたか当てようか?」 「…………いい」 本当に言い当てられそうで恥ずかしくて、沙希は絞り出すように断る。 「へぇ」 軽く目を見張り、乱歩が面白そうな顔をする。 すぐ近くにあるそれに、沙希は心を決めた。 「ッ!?」 目の前で驚きに目が見開かれた。 「……驚いたな」 触れただけですぐに離れていった沙希に、乱歩はくすりと笑う。 そして、沙希を引き寄せた。 「あっ!」 んぅと漏れた声。 深く深く与えられる接吻。 立っていられなくて床にへたり込む沙希に、乱歩は覆い被さるようにして唇を貪り続けた。 「寂しかったのは僕もだ」 僅かに離れた唇がそう告げて、また重なる。 嗚呼、結局言い当てられた……そう思いながら、 沙希は乱歩の背に両手を伸ばすのだった。 おわり PR