WITH 6【最遊記 三空】 2008年06月30日 その他版権 0 【最遊記/三空】 過去に友人の三空本へ寄稿した中編作品です WITH 6 ◇ ◆ ◇ 「あーっ!悟浄、そんなとこで煙草吸うなよなっ!」 ベッドの横で、くわえた煙草に火をつけようとしていた悟浄から、悟空は煙草を取り上げた。 「こら!バカ猿、返しやがれ。」 「吸うなら外で吸ってこいよ!」 「うるせえ、迷い猿。」 「猿って言うな!」 「へーえ、『迷い』ってとこは否定しねーんだな。」 ドタバタと始まる喧嘩。 その騒ぎをよそに、 「……で、やっぱりぶりかえしたわけですか。」 温厚な笑顔を浮かべた八戒の口から発せられたのは、ちくちくと刺さるような台詞。 昨夜、暗くなるまで探し回らされたのだから、八戒の怒りも当然なのだが…… 不機嫌な顔で、三蔵はそっぽを向いた。 「最初から、悟空に風邪をうつしたくないから……って言ってくれれば、悟空を捜しに出て風邪を捜しに出て風邪がぶり返すこともなかったんですけどね。」 畳み掛けるような笑顔の八戒による攻撃に、三蔵は忌々しげに小さく舌打ちした。 「三蔵サマってば、素直じゃないんだからぁ~」 悟空と喧嘩しながらも、横合いから悟浄が口を挟んだ。 そして、何の前触れもなく部屋に響いたのは銃声。 「って!?てめぇっ!ンなもん、どこに持ってたんだ!」 頬を翳めるように横を過ぎて行った銃弾に顔を引きつらせながら、悟浄が抗議の声を上げる。 「……チッ、外したか。」 残念そうに呟いて、おもむろに枕の下に短銃をしまう三蔵。 「外したか……じゃねえっ!」 「三蔵は病人なんだからやめろよな!」 「銃ぶっ放す病人がどこにいる!ああ!?」 「うるせえ!」 すぱーん!! 三蔵のハリセンが、悟空と悟浄、二人の頭を直撃する。 眉間の皺が、いつもより多い。 どうやら、頭痛と熱でかなり苛立っているらしい。 「いてぇ!何でオレまで殴んだよ!」 「病人は病人らしくおとなしくしてろ!」 「そう思うなら、静かにしやがれ!」 再び、部屋にハリセンの音が響いた。 「それだけの元気があるんでしたら、もう大丈夫ですね。」 苦笑を浮かべて、八戒は呟いた。 【WITH7】へ PR