ある秋の日に【tactics】 2008年02月18日 その他版権 0 ちょっと民俗学者な勘太郎を書いてみました 秋の日の、忙しい民俗学者の図…←半分実話 ある秋の日に 「手伝ってください~っ!」 秋晴れのある日。 一ノ宮家に飛び込んできたのは、勘太郎の後輩に当たる者たちであった。 秋祭りの民俗調査の人手が足らないとかで、彼らは、先輩である勘太郎に助けを乞いに来たのだった。 泣きつくいてくる彼らに、勘太郎は頭を抱えた。 季節ごとに重なる行事の調査が大変なのは知っていた。 知っているからこそ…… 「手伝ってあげたいんだけどね。原稿の締め切りが…」 視線をそらせつつ言う勘太郎へ、横合いから、すかさずツッコミが入る。 「一仕事終わって暇だ~とか言ってなかった?」 「季節もいいから温泉にでも行こうとか言ってたじゃないか。」 「よ、余計なことを!」 ビー玉を眺めていた春華と茶を運んできたヨーコを睨む勘太郎。 「人手が足らなくって大変なんです。お願いしますよ~」 「もう、先輩方に協力していただくしかないんですよ~」 「沼田先生も是非に…と」 恩師の名を出されてしまっては、もう断る術もない。 「しかたないな……」 大きく溜息をついて、勘太郎は頷くしかなかった。 「なんか、引きずられて行ったような気がするが…」 「珍しく、勘ちゃんが民俗学者に見えたわ…」 後輩たちと共に、慌しく出かけて行った勘太郎を見送りつつ、春華とヨーコは顔を見合わせて苦笑した。 たまにはこんな「普通」の日常も…… PR