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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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ある秋の日に【tactics】

ちょっと民俗学者な勘太郎を書いてみました
秋の日の、忙しい民俗学者の図…←半分実話
ある秋の日に


 

「手伝ってください~っ!」
 
 秋晴れのある日。
 一ノ宮家に飛び込んできたのは、勘太郎の後輩に当たる者たちであった。
  秋祭りの民俗調査の人手が足らないとかで、彼らは、先輩である勘太郎に助けを乞いに来たのだった。
 泣きつくいてくる彼らに、勘太郎は頭を抱えた。
 季節ごとに重なる行事の調査が大変なのは知っていた。
 知っているからこそ……

「手伝ってあげたいんだけどね。原稿の締め切りが…」
 
 視線をそらせつつ言う勘太郎へ、横合いから、すかさずツッコミが入る。

「一仕事終わって暇だ~とか言ってなかった?」
「季節もいいから温泉にでも行こうとか言ってたじゃないか。」
「よ、余計なことを!」

 ビー玉を眺めていた春華と茶を運んできたヨーコを睨む勘太郎。
 
「人手が足らなくって大変なんです。お願いしますよ~」
「もう、先輩方に協力していただくしかないんですよ~」
「沼田先生も是非に…と」

 恩師の名を出されてしまっては、もう断る術もない。
 
「しかたないな……」

 大きく溜息をついて、勘太郎は頷くしかなかった。

 


「なんか、引きずられて行ったような気がするが…」
「珍しく、勘ちゃんが民俗学者に見えたわ…」
 
 後輩たちと共に、慌しく出かけて行った勘太郎を見送りつつ、春華とヨーコは顔を見合わせて苦笑した。

 
 たまにはこんな「普通」の日常も……

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