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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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お花畑【スレイヤーズ/ガウリナ】

かなり甘々なガウリナ。
昔、知人のHPに贈ったお話。
結構乙女ちっくな内容?

お花畑


 

「うわぁー!」



 あたしはそれを見て駆け出した。

 辺り一面に広がる花畑。

 足元で花びらが舞い散る。



「あ、おい!リナ!」



 後ろから、ガウリイの呼びかける声がした。



 ……誰?そこで、花畑なんか似合わない。なーんて言ってるのは……

 あたしだって女の子なんですからねっ!



 などと、わけの分からないことを考えながらあたしは立ち止まった。

 そして、そこで地べたに腰掛ける。

 手近なところにあった花を一輪取って、香りを嗅ぐ。



 いい匂い……



 そのまま寝っ転がると、花があたしの頬をくすぐる。

 天気もいいし、お昼寝には丁度いいかも……



「こら」



 空から声が降ってくる。

 金色の髪がさらさらとこぼれて、日の光を受けて輝いた。



「何よ、ガウリイ」



 起き上がったあたしの隣に、ガウリイは腰掛けた。



「いきなり走りだすんじゃない」



 言って、あたしの頭に手を乗せる。



「いいじゃない。

 ほら、こんなに気持ちいいんだし、ちょっと休んでいこうよ。」



 微笑んで、あたしはまた、寝っ転がった。

 ふわり、と花びらが舞う。



「そーだな」



 微笑んで、ガウリイも寝転がる。

 ひらひら、と黄色い蝶々が空を舞っている。

 あたしは、それを目で追った。



 何だか……眠くなってきたなぁ………



                         





「……リナ……おい、リナ!」



 誰かがあたしを呼んでいる。



「リナ。起きろって!

 そろそろ行かないと、日が暮れるまでに次の町に着けないぞ」



 あたしは瞼を開いた。



 青い瞳。



 最初に目に入ったのはそれだった。



「あ、ガウリイ」



 目をこすりながら、あたしは体を起こす。



「あ、ガウリイ……じゃない。」



 呆れたようにガウリイが言う。



「あはは……」



 ごまかし笑いするあたし。



「しっかし…よく寝るな……お前は…」



「うるさいわね!

 ……じゃ、行きましょっか……って」



 言って立ち上がりかけたあたしのほうへ、ガウリイが手を伸ばした。



「え?」



「リナ、お前の髪、花びらだらけだぞ」



 苦笑しながら、あたしの目の前に、摘まんだ花びらを持ってくる。



「……あ……」



「取ってやるから、じっとしてろよ。」



 言うとすぐ、ガウリイはあたしの髪についた花びらを取る作業を始めた。



「う…うん」



 目の前で、金色の髪が揺れてる。

 ちょっと視線を上げると、ガウリイの真剣な瞳が飛び込んできた。

 思わずじっと、見つめてしまう。



 ガウリイは、あたしが見つめていることに、全然気づいていない。

 それほど真剣に花びらを取ってるのだろうか……



「ほら、これで全部だ。」



 言って、あたしの方に視線を移すガウリイ。



 どきっ



 瞳が合ってしまい、あたしは硬直する。



 やだ、あたしってば、何、ドーヨーしてんのよっ!



 だけど、なぜだか視線を外せなくて、あたしはガウリイの青い瞳に映る自分の姿を見つめていた。



「……リナ」



 呼ばれるが、あたしは上の空で、ガウリイの瞳を見つめていた。

 あたし以外、何も映っていない蒼。



 ゆっくりと、ガウリイの顔が降りてくる。

 あたしは、そっと目を閉じる。



 それは……すごく自然なことのように……訪れた。



 初めてのキス。



 軽く触れただけの……くちづけ。



 ふと我に返って、あたしは真っ赤になってしまう。

 うつむいて、真っ赤になっているあたしの頭を、いつものように撫でてくれるガウリイ。



「さ、行くぞ」



 言って、立ち上がる。



 歩きだした彼の後を、少し離れて、あたしは歩く。



 頬の火照りがおさまらない。







 ……町に着くまでにはなんとかしなきゃ……

 

おわり

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