喧嘩【スレイヤーズ/ガウリナ】 2008年07月22日 スレイヤーズ/ガウリナ 0 かつて会員制ガウリナサークルに投稿したお話 朝目が覚めると……!? 喧嘩 朝日が窓から差し込んできて、ガウリイは目を覚ました。 ベッドに身を起こそうとして、傍らに誰かがいるのに気付く。 「あ…おはよ。ガウリイ。」 ―――――――――――――!? 「リナ!?」 ガウリイに寄り添うようにして、リナが…いた。 「なんで…」 掠れた声で、ガウリイは呟く。 頭の中が混乱している。 「どうしたの?」 と、顔を覗き込んでくるリナ。 「あ……もしかして……照れてるとか?」 微笑んで、リナが言った。 「ガウリイって、意外と照れ屋さんなんだ。」 呆然としたまま、ガウリイはただ、リナを見つめる。 「何よ……そんなに見ないで。恥ずかしいじゃない。」 「ちょっと…ちょっと待ってくれ」 声を絞り出し、ガウリイは言った。 「聞くが、どうしてここにいるんだ?」 その言葉を聞いたリナの瞳が、突然曇った。 「どうして。……って……ひどい……昨日は…あんなに優しくしてくれたじゃないの……」 そして、両手で顔を覆ってリナは肩を震わせた。 「忘れちゃったの?あたしはちゃんと覚えてるのにっ」 「いや…その…あの……」 困ってしまって、ガウリイはオロオロしてしまう。 ――と、その時…… 「ぷっ!」 突然リナが吹きだした 「こんなにあっさり引っかかるなんて。 ……あたし、女優になれるかも。」 笑いながら、ぴょん、とベッドを飛び降りる。 「目、覚めた?」 意地悪く笑っていうリナ。 「……騙したのか?」 俯いて、ガウリイは声を絞り出した。 「違うわよ。起こしに来ただけ。」 「……お前な……俺がどんな気持ちだったか…」 「な…なによ……」 ガウリイの様子に、リナは思わず身を引いた。 かなり、怒っているようだ。 「出てけ…」 低い声でガウリイが言う。 「ごめんなさいっ!ガウリイ!……あたし……」 「出て行け!」 ガウリイが怒気をはらんだ声で怒鳴った。 「……!――ごめんなさいっ」 言って、リナは部屋を飛び出した。 自分の部屋に戻りはしたものの、リナは、扉に寄りかかったまま動けないでいた。 「ガウ…リイ……」 ――あんなに怒るなんて思ってもみなかった。 後悔がリナの心を占める。 体が言うことを利いてくれない。 ――あんなに怒ったガウリイ……初めて見た。 胸が苦しい。 ほんの悪戯心からやったことで、ガウリイをあんなに怒らせてしまった。 ……嫌われてしまったかもしれない……そう思うと、息もできないほど胸が締め付けられた。 ――怒鳴ることなんて……なかったよな…… ベッドに腰掛けて、ガウリイは大きく溜息をついた。 今朝の……部屋を飛び出していった時のリナの表情が、脳裏に焼きついて離れない 「リナ……」 小さく、呼びかけるように、ガウリイは呟いた。 コンッコン その時、扉をノックする音が聞こえた。 「ガウリイ……あの……話があるんだけど……入ってもいい?」 遠慮がちな、小さな声。 「……リナ……か……?」 ガウリイは問いかけて立ち上がる。 「うん……」 扉の向こうに佇むリナは、いつもより小さく見えた。 「……入るんだろ?」 扉を大きく開いて、ガウリイはベッドに再び腰掛けた。 無言で部屋に入ってきて、リナは静かに扉を閉める。 「怒って……るよね……その……今朝の……事……」 ベッドに座るガウリイの正面に立って、リナは俯いたままで切り出した。 「ああ。怒っている。」 「ごめんなさい!あんなに怒るなんて……――」 「お前にも……それに……自分にも……な」 遮るように言ったガウリイの言葉に、リナは慌てて顔を上げた。 「ごめんな。…あんなに怒鳴って……」 立ち上がり、リナの傍にやってくると、ガウリイは彼女の髪を撫でて優しく言った。 「ガウ…リイ……許してくれるの?」 じっと、ガウリイの顔を見上げ、リナは問いかける。 「当たり前だろ?……でも、あーいう起こし方はもうやめてくれ。……心臓に悪い……」 苦笑するガウリイに、 「ガウリイっ!」 緊張の糸が切れたのか、しがみついて泣き出すリナ 「……リナ……」 ガウリイは、そっとリナの髪を撫でてやった 小鳥の鳴く声が、朝の爽やかなそよ風と共に部屋に入ってきた。 「ガウリイ、お・は・よ・う♪」 囁くような声に、ガウリイは慌てて飛び起きた。 「リナっ!お前なあっ! また…か………!?」 詰め寄って怒鳴ったガウリイは、リナの格好を見て思わず硬直してしまう。 「えへへ。バージョンアップよ」 舌を出して、リナが言う 「それ、俺の服じゃないかっ!」 「そーよ」 リナはわざわざ、服を、ガウリイのシャツと着替えていたのだ。 裾から白い脚が出ているのを見て、一瞬、変な気を起こしそうになり、慌ててガウリイは視線を顔に向けた。 ――何でこいつは、こんなに無防備なんだよ…… 「襲われたいのか!お前わ!」 真顔で詰め寄るガウリイ 「きゃーっ!近寄んないでぇ~!」 叫びつつ枕を投げつけ、ベッドを飛び降りるリナ 「オレのシャツ返せ!」 ガウリイもベッドを降りて、リナを追う。 「取り返してみなさいよーだ」 「こら!リナッ!」 そして―― 「……っと」 「んきゃっ!」 ガウリイの手がリナの腕を掴む。 一瞬見つめあい…… 「爆煙舞!」 リナの呪文が炸裂した。 END PR