朝【スレイヤーズ/ガウリナ】 2008年07月22日 スレイヤーズ/ガウリナ 0 かつて知人のサイトに差し上げた作品(随分昔…) TRY第1話を見て妄想に駆られて書いたもの。 朝 爽やかな風と朝日が部屋に差し込む港町。 「ふああ~…」 ベッドに起き上がって、リナは大きく伸びをした。 ぱさっ…… 微かな音がして、リナは、ふと音のした方を振り向く。 「ん?」 扉の隙間に一通の手紙が差し込まれていた。 「なになに……リナ=インバース様へ…」 読みながら、どさり、とベッドに腰掛ける。 仕事依頼の手紙。 封筒の差出人の名前には…… 「この差出人……フィリアって、誰?」 ……全く心当たりがなかった。 ちょっと考え込むが、 「ま、会えば分かるか。」 あっさりと考えるのをやめて、手紙をベッドの上に放り出す。 ――って……そういえば…… ふと、思い出して、リナは辺りを見回した。 かちゃっ 扉の開く音に、リナはそちらを振り返る。 「よっ、起きたな。」 微笑みながら入って来たのは、かなりの長身の金髪の男。 旅の連れ……リナの、自称保護者……ガウリイである。 「……あんたね……何回言えば分かるのよ。 入るときは、ちゃんと、ノックぐらいしてよねっ!」 ガウリイに向かって、リナが言う。 「別にいいじゃないか。」 ガウリイは、リナの傍へやって来ると、ぽんっ、と頭に手を乗せて微笑んだ。 「よくないわよっ!」 怒鳴るリナ。 「分かったよ……今度から、ちゃんとノックする」 くしゃ、っとリナの髪をかき回す。 「絶対だからね。」 言ったリナの頬にガウリイの手が添えられる。 「ああ。」 微笑むガウリイ。 「おはよう……リナ」 その手に、リナは自分の手を添えた。 「……おはよ……ガウリイ」 互いにあいさつを交わし、微笑む。 ガウリイの顔が降りてきて、リナは瞳を閉じた。 二人が同室で朝を迎えるようになってから、毎朝の習慣となった、朝のあいさつ…… 「何処行ってたのよ、窓開けっ放しでさ」 拗ねる様なリナの言葉に、 「あ。開けっ放しだったか?……すまん。」 ガウリイは頭を掻きながら、 「いや……な。 目を覚まして窓開けた時にさ、あんまりにもすがすがしかったんでちょっと散歩に行って来た。」 「なーんだ。 ――って、そうそう、さっき、手紙来てたのよ。」 思い出して、リナはベッドに放り出した手紙を手に取る。 「何のだ?」 「仕事の依頼。」 手にした手紙をひらひらさせて、リナは言う。 「フィリアってひとよ。……ま、とにかく、朝ごはんにしましょうか。」 手紙をまた放り出し、リナはベッドを降りた。 そして、服に着替えようとして、はた、と動きを止める。 「ガウリイ……何見てんのよ。」 「いーじゃないか、別に。 いまさら、お前さんの裸なんて見飽き……」 ばふ 枕が、ガウリイの顔面に命中する。 「分かったよ。先に階下、行っとくぞ」 苦笑を浮かべて、ガウリイは部屋を出て行った。 「まったくぅ、デリカシーのかけらもないんだから」 ぶつぶつ言いながら、リナはいつもの服に着替えた。 ベッドの上の手紙を懐にしまい、 「さぁーて、ごはんっごはんっ」 くるりっ、と踵を返してリナは、ガウリイの待つ階下の食堂へと向かった。 END…というかTRY第1話に続く? PR