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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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甘く…蕩けそうな…【スレイヤーズ/ガウリナ】

バレンタインのお話なのでひたすら甘く…

甘く…蕩けそうな…


 

誰が始めたのだろう…

チョコレートを贈る、愛の習慣を……

 

 

「なあ、リナ…」

「ん~?」

 

いつもと変わらぬ旅の空。

ちょっとだけ賑やかな町の雰囲気。

何故だろう?

ほんの少し、カップル比の高い気がするのは…

 

そんな町の宿屋の、リナの部屋にガウリイが突然やってきた。

 

「チョコレート、くれないのか?」

 

ぴたっ!

 

思わず硬直してしまう。

まるで油の差していない機械のように、ギシギシと振り返ると、

 

「なんで、あたしが、あんたに、食べ物あげなきゃいけないのよっ!!」

 

まるっきり説得力のないセリフを吐いた。

気迫だけはいつもどおりなのに、真っ赤な顔で発したところで、何の効力もない。

 

「だって、今日はそういう日なんだろ?」

 

――まったくコイツは…必要なことはすぐ忘れるのに、こーゆーことばっかり、覚えてきてっ!

 

「『そういう』って、どういう?」

 

ぷいっ

 

と背を向けながら、険悪な声で問い返す。

 

「女から男にチョコレートをプレゼントする日」

 

間違ってはいない。

間違ってはいない…が。

 

「意味、分かって言ってんの?」

 

動揺を隠しながら問うと、予想通りの答えが返ってきた。

 

「意味って?」

「はぁ~…」

 

本当に知らないのか…もしかして・・・・・・実は知っていてとぼけているのか…・・・ふと、そんな考えもよぎったが……

大きく溜息をついて、リナは荷物の中から包みを一つ取り出した。

 

「ホントの意味、教えたげる。」

 

いいながら、つかつかと正面へ歩み寄る。

ぐいっ、と包みをガウリイの胸へ押し付けて…

 

「え?」

 

ぐいっと胸倉を掴んで屈ませると、背伸びするようにして唇を合わせた。

 

「あたしの口から言わせるんじゃないわよ!」

「たまには…言ってくれてもいいだろ?」

 

やはり・・・知らないフリをしていたらしい…

一度離れた唇は……口の中で小さく呟かれた言葉と共に……今度は、チョコレートでさえ簡単に蕩けてしまうほど…熱く甘く……重なった。

 
END

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