甘く…蕩けそうな…【スレイヤーズ/ガウリナ】 2007年05月01日 スレイヤーズ/ガウリナ 0 バレンタインのお話なのでひたすら甘く… 甘く…蕩けそうな… 誰が始めたのだろう… チョコレートを贈る、愛の習慣を…… 「なあ、リナ…」 「ん~?」 いつもと変わらぬ旅の空。 ちょっとだけ賑やかな町の雰囲気。 何故だろう? ほんの少し、カップル比の高い気がするのは… そんな町の宿屋の、リナの部屋にガウリイが突然やってきた。 「チョコレート、くれないのか?」 ぴたっ! 思わず硬直してしまう。 まるで油の差していない機械のように、ギシギシと振り返ると、 「なんで、あたしが、あんたに、食べ物あげなきゃいけないのよっ!!」 まるっきり説得力のないセリフを吐いた。 気迫だけはいつもどおりなのに、真っ赤な顔で発したところで、何の効力もない。 「だって、今日はそういう日なんだろ?」 ――まったくコイツは…必要なことはすぐ忘れるのに、こーゆーことばっかり、覚えてきてっ! 「『そういう』って、どういう?」 ぷいっ と背を向けながら、険悪な声で問い返す。 「女から男にチョコレートをプレゼントする日」 間違ってはいない。 間違ってはいない…が。 「意味、分かって言ってんの?」 動揺を隠しながら問うと、予想通りの答えが返ってきた。 「意味って?」 「はぁ~…」 本当に知らないのか…もしかして・・・・・・実は知っていてとぼけているのか…・・・ふと、そんな考えもよぎったが…… 大きく溜息をついて、リナは荷物の中から包みを一つ取り出した。 「ホントの意味、教えたげる。」 いいながら、つかつかと正面へ歩み寄る。 ぐいっ、と包みをガウリイの胸へ押し付けて… 「え?」 ぐいっと胸倉を掴んで屈ませると、背伸びするようにして唇を合わせた。 「あたしの口から言わせるんじゃないわよ!」 「たまには…言ってくれてもいいだろ?」 やはり・・・知らないフリをしていたらしい… 一度離れた唇は……口の中で小さく呟かれた言葉と共に……今度は、チョコレートでさえ簡単に蕩けてしまうほど…熱く甘く……重なった。 END PR