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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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甘く…蕩けそうな…【遙か1/鷹あか】

現代ED後
甘いものを目指して書いたものです
甘く…蕩けそうな…


 

「明日、学校が終わった後に…いつもの公園で」

 

 めずらしい、あかねからの待ち合わせの約束。

 鷹通は、不思議に思いながらも、その時間が来ることが待ち遠しいことに…まだ、少しの戸惑いを感じていた。

 

 

「遅くなってゴメンナサイ!」

「いえ、私が少しばかり早く着いてしまっただけですよ」

 走ってやってきたあかねに、鷹通は微笑みながら答えた。

 

「寒くないですか?」

 風を避けて腰掛けた東屋のベンチ。

 

「あ、大丈夫です。走ってきたばかりだし…」

「そうですか・・・・・・でも、寒くなったら言ってくださいね。」

 向けられた優しい微笑み。

 ――一緒にいるだけで暖かい……って言ったら、なんて言うんだろうな……

 ふと、そんな思いが過ぎる。

「鷹通さんも、寒かったら言ってくださいね。」

「お気遣い、ありがとうございます。」

 

 

「それで……今日は急にどうしたんですか?」

 問われて、急に緊張してしまうあかね。

「あ、あの……これ……」

 

 可愛らしくラッピングされた包みを差し出して…

 いろいろ考えていたのに、結局出てきた言葉はそれだけ。

 一瞬訪れた沈黙に、不安になっておずおずと顔を見上げると…

 

 ――あ……

 

 少し照れたような鷹通の表情。

「確か…今日2月14日は…女性が好きな方に贈り物をする日…でしたね。」

 あかねは黙って頷いた。

 

 勉強熱心な鷹通のことだ、既にどこかで知識を得ていたのだろう。

 

「私…頑張って作ったんです。」

「そうだったんですね…ありがとうございます。」

 優しい声。

 向けられた微笑み。

 緊張が消し飛ぶほどの…幸福感。

 

「作った……とおっしゃいましたが……あけてみてもいいですか?」

「はい……あ、その……形はあまりよくないんですけど……」

 初めての手作りチョコレートは、蘭と詩紋に手伝ってもらって何とか完成したものだった。

 

「いいえ…とてもおいしいですよ。」

 ひとかけらを口に運び、微笑む鷹通に、あかねはほっとして…やっと全身の緊張が取れた。

 この人と一緒にいられることが幸せだと…改めて思った。

 

 

「あ、あの…私からあまり言ったことがないですけど……」

 ふ・・・と背中を押されたような気がして…

 普段は滅多に口にすることのない言葉が、口をついて出てくる。

 そっと寄り添うと、肩が、腕が触れ合う。

 

「私、あなたのこと好き……です。大好きです。

 こうやって、いつも一緒に過ごせて……すごく嬉しい。

 私って、幸福だな……って思うんです。」

 

 眼鏡の奥で優しい瞳が、にっこりと微笑んだ。

 優しく抱き寄せられる。

 

「私も、あなたのことが好きですよ。

 これまでも、これからも。」

 

 囁く甘い声に、思わず零れるため息。

 交わった視線。

 どちらからともなく…ゆっくりと唇が重なった。

 

 チョコレートよりも甘く…心まで蕩けてしまいそうな…キスだった。

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