のんびりしよう【スレイヤーズ/ルナゼロ】 2009年08月01日 スレイヤーズ/その他 0 パラレル設定。たまにはふたり、のんびりと過ごす昼下がりもいいよね。 パラレルなルナゼロ。同級生だった二人の今の姿。 全く違う道を歩む二人をつなぐ、コーヒータイム。 ※パラレル設定のもののためカテゴリー変えています のんびりしよう カランカラン 軽やかなドアベルの音がして、ルナは顔を上げた。 晴れた日の昼下がり。 父親は、またどこかへ旅に出てしまった。 母親は、仲の良い友達たちとプチ旅行。 リナは、ガウリイを供に食べ歩きツアー。 ミルガズィアは久々に、故郷へ里帰り中。 そして、普段この喫茶店の主をしているルビアは、姉と義兄の墓参りに出かけている。 「おや、ルナさんだけですか?」 「あら。平和なだけあるわね~暇なの?警部殿。」 他に誰もいないから、今日は、ルナが一人で喫茶店の店番。 朝から、ほとんど客も入らないから、早いけれど閉めてしまおうかと思っていたところだった。 「ええ、おかげさまで。」 「ふうん。」 ルナの棘のある皮肉も軽くあしらって、ゼロスは、にこにこ顔でカウンター席へと腰掛けた。 どうせ、部下たちに全部任せて、抜けてきたのだろう。 ――ほんっと、不良警部よね… 「ああ、ルナさん。言っておきますけれど、僕は今日非番ですよ。」 ルナの思考を読んだかのように、にこやかに告げるのは己の潔白。 ゼロスの胡散臭い笑みを一瞥し、ルナは、水の入ったコップを些か乱暴な手つきでテーブルへ置いた。 「まあ、あたしには関係ないから、どうでもいいけど。」 「でしょうね。」 水を喉に流し込み、半ばほどまで中身の減ったコップを、几帳面に元通り置いて… ゼロスは、頬杖をつきながらルナへと視線を向けた。 「特製ブレンドでいいんでしょ?」 お代はちゃんともらうけど。 一言付け加えながら、でもてきぱきと動く手。 「できれば、普通のブレンドが……」 「なあに?せっかく『新作ゼロス専用ブレンド』作ったのに?」 「……えぇっと、何入れたか聞いてもいいんでしょうか?」 おずおずと問う声に、僅かに訪れたのは沈黙。 「厨房に置いてるホウ酸団子…」 湯の沸く音が、BGMとして沈黙を彩る。 「勘弁して下さい……」 「ちっ」 命拾いしたわね。 などという呟きは聞かなかったことにして、ゼロスは残っていた水を飲み干した。 「皆さん、お出かけですか?」 「薄情よねぇ、あたしだけ留守番なんてさ。」 コーヒーの良い香りが店内を満たす。 自分の分のカップを手にカウンターから出てきたルナは、ゼロスの隣に椅子一つ空けて腰掛けた。 「まあ、他に何かすることがあるかっていえば、ないんだけど。」 「枯れてますねぇ、ルナさん。」 「あんただって、似たようなものじゃない。」 「ええ、まあ。」 静かな店内。 互いにカップを傾ける音だけが僅かに響く。 外から聞こえる喧騒なんて、別世界の出来事。 「そういえば、何年ぶりですかね。」 「ん?……ああ、そんなの今更だわ。」 二人で、この店内で、肩を並べてコーヒーを飲んだのは、すでにずっと昔……セピアの記憶の向こう。 ルナとゼロスとフィリアが、出会ったばかりの頃だっただろうか… 「でも、まあ。」 カップを置いたゼロスが、頬杖つきながらルナを見た。 「そうね。」 古い時計が時を刻むのを見つめながら、ルナは小さく唇に笑みを浮かべた。 たまには、思い出話でもしながら、のんびりコーヒータイムでも過ごそうか。 お題「共にいる幸福で5のお題」【配布元:原生地 様】 PR