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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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桜の下で【スレイヤーズ/ガウリナ】

夜桜酒。甘々ガウリナ(パラレル設定)
桜の下で



 夜桜見物喧騒が、遠い世界のように感じた。
 
 傍らには、ほろ酔い状態でウトウトする少女。
 ガウリイは、肩によりかかったリナの髪を、そっと撫でた。

 

 花見だと言って連れ出された駅向こうの公園。
 仄かに光の灯る道沿いに、満開に近い桜が並んでいた。
 公園の池の傍には少し開けた場所があって、いつもそこで花見をする。
 いつもは……リナの家族や友達と一緒に、どんちゃん騒ぎをするのが恒例だった。
 
 けれど……

「たまには、静かに花見酒っていうのもいいでしょ?」

 そう言って、リナは駅前のコンビニで買いこんできた酒類の入った袋を揺らした。
 
「おい、未成年は酒飲んじゃダメなんだぞ。」
「硬いこと言いっこなしよ!」

 いつもの宴会は、煩い連中も一緒だから、今日くらいはいいじゃないかと、リナが笑う。
 本当は、頑として反対すべきなのだろうが……
 リナの嬉しそうな顔を見ていると、ダメだと言えなくなってしまった。



 ひらりひらりと桜の花びらが舞い落ちてくる。
 池の反対側には夜店も出ていて、まだ賑やかな声がしているけれど…
 
「静かだな…ここは。」
「でしょ?」

 くすくすと笑って、リナが、春の新製品だという桜風味の缶入りカクテルを傾けた。
 
「なあ、それ、美味しいのか?」
「美味しいわよ。」
 
 ビールを飲んでいたガウリイが、リナの持つ缶に視線を向ける。
 にっこりと笑ったリナが、まだ半分ほど残っている缶を軽く振った。

「へえ…じゃ、一口……」
「え……?」


 桜色に色づいた唇は、本当に桜のような香りがした。

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