桜の下で【遙か4/葦原家】 2009年12月12日 遙かなる時空の中でシリーズ 0 過去捏造 中学校の入学式の日の葦原家の三人。 桜の下で ひらひらと落ちてくる花弁。 千尋と那岐は、真新しい制服に身を包んで、中学の門の前に立っていた。 「ほら、桜、満開だよ!」 今にも駆け出しそうな千尋。 頭を掻き、那岐は少し離れた所にいる風早へと面倒くさげに視線をやった。 「早く撮れよ。」 「千尋、じっとして下さい。」 言われて仕方なく、風早の向けるカメラへと向き直る千尋。 穏やかに流れる時間。 このまま、変わらず過ぎてくれれば…と願う心。 「さあ、二人とも。」 微笑みを浮かべ、風早は二人を促した。 軽い足取りで校門をくぐった千尋が、数歩後を歩いてくる那岐へと肩越しに振り返る。 マイペースに、那岐はあくびを一つ。 ……きっと、入学式の途中で寝る気満々なのだろう。 そんな二人の後ろ姿を、優しい眼差しで風早は見送る。 のびのびと… 二人には、成長してほしいと思う。 たとえ…これから先に、どんな未来が待ち構えていようと…… PR