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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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桜の下で【遙か4/葦原家】

過去捏造
中学校の入学式の日の葦原家の三人。


桜の下で


 

 ひらひらと落ちてくる花弁。

 

 千尋と那岐は、真新しい制服に身を包んで、中学の門の前に立っていた。

 

 

 

「ほら、桜、満開だよ!」

 今にも駆け出しそうな千尋。

 

 頭を掻き、那岐は少し離れた所にいる風早へと面倒くさげに視線をやった。

「早く撮れよ。」

 

「千尋、じっとして下さい。」

 言われて仕方なく、風早の向けるカメラへと向き直る千尋。

 

 

 

 穏やかに流れる時間。

 このまま、変わらず過ぎてくれれば…と願う心。

 

 

 

「さあ、二人とも。」

 微笑みを浮かべ、風早は二人を促した。

 

 

 軽い足取りで校門をくぐった千尋が、数歩後を歩いてくる那岐へと肩越しに振り返る。

 

 マイペースに、那岐はあくびを一つ。

 ……きっと、入学式の途中で寝る気満々なのだろう。

 

 

 そんな二人の後ろ姿を、優しい眼差しで風早は見送る。

 

 

 のびのびと…

 

 二人には、成長してほしいと思う。

 たとえ…これから先に、どんな未来が待ち構えていようと……


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