忍者ブログ

よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

雪景色【スレイヤーズ/ガウリナ】

雪に喜ぶワンコガウリイ(笑)と子供たちに反則技教え込むリナ
雪合戦の図


雪景色


 

「おい!リナ、見てみろよっ!」

 

 勢いよく、ノックもなしに開いた宿の扉。

 

「うるさい!」

 

 不機嫌な声と共に、ガウリイの顔面を枕が直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 外は一面の銀世界だった。

 昨晩、あれほど静かで寒かったのは雪が降っていたからなのか…と、リナは納得する。

 

「折角、雪がたくさん積もってるから教えてやろうと思ったのに…」

「勝手に乙女の部屋に乱入してきて何言ってんの!」

 

 拗ねてしまったガウリイを睨んで…リナは、その背中を蹴っ飛ばした。

 

「ほら、行くんでしょ?外。」

 

 無愛想に言い捨てて、外に出る。

 

「おう!」

 

 犬ならば尻尾を振っているかのように、ガウリイが後に続いた。

 

 

 歩くと、二人の足跡が真っ白な道に残ってゆく。

 ガウリイは、道も屋根も広場も、真っ白になってしまっている町を、物珍しそうに見回していた。

 

 

 

 ぼすっ!

 

 

 

「痛っ!」

 

 突然、後頭部に何かがぶつかって、ガウリイは驚いて頭に手をやる。

 

「冷たい……」

「なに、ぼ~っとしてんのよ!」

 

 指に感じた冷たさは…雪だろうか?

 首を傾げたガウリイに、リナのからかうような声。

 そして、再び頭に当たる何か。

 

「ッ!」

 

 下に落ちたものを見て、ガウリイは、それが雪玉なのだと気付く。

 

「リナッ!!」

「ぼーっとしてる方が悪いのよ。」

 

 にやり…と笑いながら、手にしていた雪玉を、ガウリイめがけて投げるリナ。

 ひょい…、とガウリイが避ける。

 

「ちっ…」

「お前なっ!」

 言って、ガウリイは足元の雪を集めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突如始まった二人きりの雪合戦。

 ふ…と気が付くと、町の子供たちまで集まってきて……

 

 

「いい?石ころ入れるのは反則。でもね、こうやって…かた~く作れば反則じゃないから。」

「リナ!そういうことを子供に教えるなっ!」

「それから…その、かた~く作ったのは、あのお兄ちゃんにぶつけていいわよ。他の子には駄目。分かった?」

「こら~~~っ!」

 

 

 

 

 太陽が空の天辺に来て、お昼ごはんだと子供たちの親が呼びに来るまで……

 町中を舞台にした大雪合戦は続くのだった。

拍手

PR