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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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たんじょうび【遙か3/幼馴染組】

【夏の熊野】
有川兄弟誕生日記念で幼馴染3人のお誕生日会話

※設定上の注意※
うちの神子の誕生日設定は同じ夏(8月)生まれです
ヒノエが京で仲間になった状態での将臣との再会後あたりの話になります
たんじょうび



 譲くんは7月17日。

 将臣くんが8月12日。

 そして私が……

 

 

 

 元の世界にいた頃、夏休みに入ってすぐ、三人で一緒に誕生会をしていた。

 三人とも夏生まれなのは、偶然なんだけれど…

 それは、物心ついた頃からの恒例行事みたいなものだった。

 最初に言い出したのは……もしかしたら、すみれおばあちゃんだったかもしれない。

 

 

 それを思い出したのは、龍神で将臣くんと再会した日の夜。

 これから先の予定について話をしている最中のことだった。

 

「あぁ~っ!」

 突然声を上げて立ち上がった私に、全員が驚いて私の方を見た。

「どうしたの?急に。」

 隣に座っていた朔が心配そうに私を見ていた。

「えっ、あ、ご…ごめんなさい。話中断させて……」

 私は慌ててその場に座りなおした。

 向かいにいた将臣くんが、不思議そうに首をかしげ……

「いいから、何なのか言えよ。」

「兄さんが仕切ってどうするんだ。」

 横合いから呆れたように譲くんがツッコミをいれるのを聞いて、皆が笑い出す。

「ええ、気になりますから、話してください。」

 弁慶さんにも促されて、私は、躊躇しながら、将臣くんと譲くんを見た。

「実は……」

 

 

 事情を説明すると、九郎さんが困惑気味に私たちを見た。

 反面、どこか楽しげな視線を向けてきたのは、ヒノエくんと弁慶さんと景時さんだった。

「なんで、予定の話してる時にそんなこと思い出すんだ。」

「先輩は、いつも突然なんだから……」

 将臣くんと譲くんが、そろって呆れたように笑う。

 でも……

 

「それもいいかもしれませんね。」

「揃った八葉の親睦にもなるだろう。」

「やろうぜ、『誕生会』とかいう宴」

 弁慶さんが、先生が、ヒノエくんが頷いたのだった。

 

 

 突然、降って沸いた、私たちの誕生会。

 この世界では、生まれた日を祝う風習はないらしいけれど……

 やっぱり、できればはずしたくない行事だから。

 

 

 

 

 ヒノエくんが珍しい飲み物やお菓子を手に入れてきた。

 朔が色んな料理を作ってくれた。

 景時さんが手伝ったらしい…譲くんも手伝いたそうだったけど、今日は…と朔から止められた。

 

 

「誕生日おめでとう!将臣くん、譲くん。」

「お前もな。」

「先輩も、おめでとうございます。」

 

 お互いに言い合って笑いあうのは、変わらない。

 変わってしまったのは、私たちを取り巻くもの。

 でも…今は……

 今だけは、あの頃のままの私たちで…………

 

 

 

 皆からの誕生祝いの言葉は、凄く嬉しくて。

 これから、きっと色々大変だって分かってるけれど……

 私は、この時空で、こうやって皆でいられたことを、ずっと忘れない。

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