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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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光の輪舞【遙か3/弁望】

運命の迷宮
イルミネーションの街を2人で歩いていて想うこと


光の輪舞


 

 学校帰りの寄り道。

 本当は、友達と買い物をするはずだったのだけれど……

 

「ごめんねっ、委員会の呼び出しで帰れなくなっちゃったの!」

 

 仕方ないから、一人で歩く暮れがかった街。

 傾きかけた陽。

 灯り始めるイルミネーション。

 

 

 

 

 なんだか不思議な感じだった。

 ほんの少し前まで、夜は闇でしかない世界にいたのに。

「この世界って…こんなに明るかったんだなぁ…」

 呟いて立ち止まり空を見上げる。

 

「危ないですよ、こんなところで立ち止まっていては。」

「えっ!?」

 

 突然掛けられた声。

 慌てて振り返ると、最初に見えたのは白いコート。

 

「弁慶さん!」

「こんなところで会うなんて、偶然ですね。」

 

 隣に並ぶ弁慶と共に、歩き始める望美。

 こんな風に、現代の町を二人で歩くことがあるなんて、考えもしなかった。

 

「不思議ですね……」

 ぽつり…と弁慶が呟くように言った。

「こんなに光に満ちた夜の道を、君と二人で歩くなんて…考えたこともありませんでした。」

 

 胸の奥が締め付けられるほど、切なくなった。

 同じことを、ほんの一瞬であったとしても、考えていたことが嬉しかった。

 

「クリスマスが来たら、もっと綺麗になるんですよ。」

 

 こみ上げそうな涙を飲み込んで、望美は駆け出す。

 少し先で微笑んで振り返ると、弁慶は驚いた顔で望美を見つめた。

 

 この人が、微笑んでくれるならそれでいい。

 この人が…生きていてくれるなら……それがいい。

 ――胸の奥で祈りながら、望美は、弁慶の表情が驚きから微笑みに変わるのを待つ。

 

「……それは楽しみですね。」

 微笑み、再び隣へと並んだ弁慶は、通り過ぎる人波から庇うように装いながら望美の肩を抱き寄せた。

 少女が言う、「もっと綺麗」な輝きを……共に目にすることができるようにと祈りながら。

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