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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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聖夜には…【遙か3/弁望】

運命の迷宮
クリスマス前、ちょっとそわそわしている弁慶さん


聖夜には…



 街へ出ると、通り沿いに植えられた木々や店は、「イルミネーション」という名の光の飾りで彩られていて…

 流れている耳慣れない音楽は、何故か、胸に高揚感を与えてくる。

 偶然訪れた店の中で、珍しい物が陳列された棚を眺めていると

「『クリスマスプレゼント』ですか?」

 と問われ、少し…戸惑ってしまった。曖昧に微笑み…その場は誤魔化したけれど……ふと…彼女の顔を思い浮かべてしまう。

 

 

 

 

 「この間、『テレビ』で言っていたけれど……『クリスマス』というのは、恋人同士で過ごすものなんでしょう?」

 

 「う~ん…そうとは限らないんだけどね。そういう人が多いのは確かだよ。

 イルミネーションって、格好のデートスポットだろうし……」

 

 「夜になったら綺麗なんでしょうね。

 あなたは、誰か二人きりで見に行きたいと思う人はいるの?」

 

 「えっ!?」

 

 「その顔は……いるのね?」

 

 

 

 帰宅した僕の耳に、そんな会話が聞こえてきた。

 どの世界でも、女性というのは話好きのようだ……

 

 

 

 僕たちが、この世界に来てから10日ほどが経とうとしている。

 

 望美さんや譲くんは、毎日「学校」へと行っているようで…それでも、毎日、夕方には僕たちがお世話になっている…この、有川家へとやってくる。

 

 彼女の家は、すぐ隣。

 幼馴染で、昔からつきあいがあるようで…彼女が遅くまでこちらに来ていても、彼女の両親は心配していないようだ。時折、夕食を共にしていくこともある。

 

 そして、今日は「日曜」という休日で、「学校」も休みらしい。

 譲くんは「部活」があるからと朝から出かけたけれど、望美さんにはそういった用向きはないらしく、僕が午前中の散策を終えて帰ってきたら、朔殿との会話 に興じていた。

 

 

 

 

 

 「――今はね、誰かと二人きりで…じゃなくて、みんなと一緒に見たいって思うんだ。」

 望美さんが、そんな風に言って微笑んだ。

 

 「残念ですね。僕は、君と二人きりで過ごしたいと思っていたんですが…」

 「きゃっ!」

 二人とも話に熱中していたのだろう…僕が、声をかけると驚いて振り返った。

 

 「弁慶殿!驚かさないで下さい。」

 「――聞いてたんですか!?」

 二人揃って、抗議の声を上げてくる。

 

 頬を染めた望美さんが、とても可愛い。

 だから……

 

 「でも……途中で、二人で抜け出せばいいのかな?」

 

 余計に言葉を募らせたくなってしまう事を、彼女は、分かっているのだろうか…

 

 「その時は、協力してくれますか?朔殿。」

 「知りません。」

 頬を染める望美さんとは逆に、呆れたように朔殿は答えた。

 

 

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