落ち葉の記憶【遙か3/弁望】 2008年02月18日 遙かなる時空の中で3 0 十六夜ED後 現代 舞散る落ち葉に思い出すのは、裏切りを知ったあの日のこと… 落ち葉の記憶 カサカサと、足元で音を立てる落ち葉。 こことは違う異世界で、「白龍の神子」として戦ったのが遠い昔のような気がする。 あれから…一年が経とうとしていた。 色付き舞い散る葉に、不意に思い出したのは…「裏切り」の序章。 忘れられない…別の時空の記憶。 「どうしたんですか?」 突然立ち止まってしまった望美を振り返り問う、優しい笑み。 全てが終わった後、この世界に留まった弁慶は…あの哀しい記憶の中の運命を辿ることなく、望美の隣で微笑んでいる。 「ちょっと思い出して…」 ほんの少し言いよどみながら、望美は視線を俯けて言った。 あの時空で…平家の間者と会っている弁慶を見てしまったこと。 初めて、源氏を裏切るのだと告げられた時の驚き。 そして、二度目の時空で感じた……切なく苦しかった思い。 それでも……弁慶を追いかけることを止められなかった…自分の想い。 「君が話す別の僕は、君を哀しませてばかりだったんですね」 別の時空の自分に嫉妬しないわけじゃない。 けれど…… 弁慶は望美をそっと抱き寄せた。 「約束させてください」 哀しい瞳で無理に微笑む愛しい少女の耳元で、呪文のように囁く。 「ここにいる『僕』は決して君を哀しませたりしないから…」 落ち葉がつれて来たあの日の弁慶の表情は、目の前で微笑む優しいそれと入れ替わって… 何度も味わった悲しみ。 幾つも見てきた…運命。 全ては…今、この瞬間の幸せの為に…… 了 PR