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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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落ち葉の記憶【遙か3/弁望】

十六夜ED後 現代
舞散る落ち葉に思い出すのは、裏切りを知ったあの日のこと…


落ち葉の記憶


 

 カサカサと、足元で音を立てる落ち葉。

 

 

 こことは違う異世界で、「白龍の神子」として戦ったのが遠い昔のような気がする。

 あれから…一年が経とうとしていた。

 

 

 色付き舞い散る葉に、不意に思い出したのは…「裏切り」の序章。

 忘れられない…別の時空の記憶。

 

 

「どうしたんですか?」

 突然立ち止まってしまった望美を振り返り問う、優しい笑み。

 全てが終わった後、この世界に留まった弁慶は…あの哀しい記憶の中の運命を辿ることなく、望美の隣で微笑んでいる。

 

 

「ちょっと思い出して…」

 ほんの少し言いよどみながら、望美は視線を俯けて言った。

 

 あの時空で…平家の間者と会っている弁慶を見てしまったこと。

 初めて、源氏を裏切るのだと告げられた時の驚き。

 そして、二度目の時空で感じた……切なく苦しかった思い。

 それでも……弁慶を追いかけることを止められなかった…自分の想い。

 

 

「君が話す別の僕は、君を哀しませてばかりだったんですね」

 別の時空の自分に嫉妬しないわけじゃない。

 けれど……

 

 弁慶は望美をそっと抱き寄せた。

「約束させてください」

 哀しい瞳で無理に微笑む愛しい少女の耳元で、呪文のように囁く。

「ここにいる『僕』は決して君を哀しませたりしないから…」

 

 

 落ち葉がつれて来たあの日の弁慶の表情は、目の前で微笑む優しいそれと入れ替わって…

 

 

 

 何度も味わった悲しみ。

 幾つも見てきた…運命。

 全ては…今、この瞬間の幸せの為に……

 

 

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