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よみぢのほだし 小説の部屋

火弟巳生が書いた版権二次創作小説の置き場

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ぽっきーげぇむ【雅恋/和彩】

雅恋 和彩

和泉と彩雪でポッキーゲームってことで。
11月11日勢いで書いてブログに載っけたやつ(ちょっとだけ修正しました)
……きっと、弐号くんがどこかで余計なこと覚えてきて和泉に教えたんだと思います。うん。

ぽっきーげぇむ




「式神ちゃん、ほら、あーん」

「えっ!?


 突然、細長い何かをわたしの口元に差し出してきた和泉。

 驚いて目をぱちくりさせていると、にっこりと笑いながら、和泉はまた、あーんと言った。


 え、えっと……


 この細長いものは、一体何だろう。

 和泉と細長いそれを交互に見るわたし。


「どうしたの……あぁ、これかい」


 和泉の問いかけに、わたしは、うんうんと頷いた。


「変なものじゃないよ、ただのお菓子だから」


 お菓子


「ほら、あーん」


 楽しそうな和泉の顔。

 逃げようがなくて、仕方なくわたしは口を開けた。

 その細長い菓子を、和泉はわたしの口の中へと差し入れる。

 そして……


「あ、まだ食べちゃダメだからね」


 え

 わけがわからず、口を開けたままのわたしは和泉の顔を見た。


「あ、口は閉じてもいいよ」


 言われるまま口を閉じる。

 唇と口の中に、仄かに甘い風味が溶けて広がる。


「そう。そのままくわえててね」


 返事できないままで、わたしは和泉を見つめる。

 そうして、すっと顔を近づけてくる和泉。


 えぇっ!!

 びくりと肩を震わせた私に、和泉は、にっこりと微笑んだ。


「動いちゃダメだよ」


 そう告げた和泉の唇が、わたしがくわえたままの細長いそれの反対側の端を挟んだ。


 な、な、な……


 わたしをじっと見つめながら、和泉は端から菓子を食べ始める。

 少しずつ近づいてくる和泉に、わたしは身動きとれないままで、それを見つめていた。


 い、和泉


 顔が熱い。


 ど、どうしよう……


 和泉の息を感じて、ふるりと身体が震えた。


 あっ


 その時。

 間近まで迫っていた和泉とわたしとの間で、細長いそれがポキリと折れてしまう。


「…………」

「……あ~あ、残念」


 悔しげに和泉が呟く。


「え、あ……ごめん」

「キミのせいじゃないよ」


 そう言って、和泉が笑った。


「それじゃ、今度はキミの番だよ」

「えっ


 はい、と菓子を渡されて、わたしは戸惑う。

 けれど、期待した顔で待つ和泉には、勝てなかった。


「あ、うん……」

「反対側から食べて、途中で折れちゃったら負けだよ」


 和泉の説明を受けて、今度は、わたしが和泉の口元へと菓子を近づける。

 菓子をくわえてわたしを待つ和泉。


 うぅ……


 よく考えてみなくても、かなり恥ずかしい。

 でも、和泉の目が、早くとわたしを急かす。


 えぇい


 目を閉じたまま、わたしは、さっき和泉がやったみたいに反対側の端から食べ始める。

 菓子は、サクサクして甘くて美味しいけど、それどころではない。

 必死にかじって……わたしはふと、それに思い当たった。


 折れたら負けって言ってたけど、折れなかったら


 菓子の反対側は和泉がくわえている。

 それはつまり……

 そこにあるのは、和泉の………


 !?


 はっとして、わたしは目を開いた。

 そして、そのまま硬直してしまう。

 和泉の顔は思った以上に近いところにあって、わたしのことをじっと見つめていた。

 ドキドキと胸が激しく鳴り響く。

 わたしは、そのまま動けなくなってしまった。


 あっ


 ふわりと、和泉が微笑んだ。

 吐息を間近に感じる。

 思わず、ぎゅっと目を閉じた。


「んっ」


 唇に何かが触れた。

 それは甘くて柔らかくて……


 


 開いたまぶたの向こう。

 至近距離に和泉の顔があった。

 わたしの唇に触れている和泉の唇。

 それは、いつもよりも甘くて溶けてしまいそうだった。


「……甘いね」


 ゆっくりと離れていった和泉が、甘い声で囁く。

 何も言えないままのわたし。


「もう一度やる


 和泉の指が、細長い菓子をつまむ。

 わたしは……

 熱に浮かされたように、ぽーっとなったままで頷いた。


「それじゃ。彩雪……あーん」


 言われるまま口を開けば、唇に触れる菓子。

 その甘さは、このあとにまた訪れるだろう甘い口づけを予感させる。


「じっとしててね」


 頷いて、わたしは近づいてくる和泉をじっと待った。









END

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